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ニーチェは音楽好きだったことで知られています。
自身、作曲もしていました。
次のページでは、ニーチェと音楽との関係を俯瞰するために、
ニーチェの年譜を音楽に関する出来事と合わせて構成しています→(1)。
音楽作品集の楽譜もちゃんと出版されています。
Friedrich Nietzsche. Der Musikalische
Nachlass, Bärenreiter-Verlag Basel 1976
ニーチェの伝記作家として有名なヤンツ(C.P.Janz)の編集によるものです。
ここには消失した歌曲数曲、ピアノ曲数曲、マニフィカト1曲、
教会のオルガンのためのオルガン曲4曲を除く74作(草稿含む)
が収められています。
この全集を元に、音楽作品一覧を作りましたので、参考にしてください→(2)。
またその中では、
ニーチェ作曲作品のCD情報についても、まとめてあります。
(update:2002.Dec.)
それでは、下記をクリックしてどうぞ各ページへお入りください。
ニーチェと音楽についての基礎情報
幼い頃から作曲を行うなど、音楽は彼にとって特別なものでした。
それは、彼の思想や学問上の態度においても同様でした。彼が最初に著した書物『悲劇の誕生』において、「ディオニュソス的なものとしての音楽」を他の芸術よりもかなり特権的なものとして描いています。
しかし彼が作曲した音楽作品自体は、当時ワーグナーにも、ハンス・フォン・ビューローにも酷評され、一般にも評価されることはありませんでした。
とはいえ、ピアノの演奏についてはかなりの腕前であったといわれています。学生時代の即興演奏のすばらしさを、当時の友人ゲルスドルフは語っていますし、コジマも彼のピアノの腕は認めていたといいます。
また後世では、ニーチェ著作『ツァラトゥストラはこう語った』と同名の交響詩を
リヒャルト・シュトラウスが作曲しました。
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おまけ、
ニーチェとアート
近現代アートで、ニーチェのエッセンスが入ったものをちょこっと紹介します。
ニーチェから影響を受けたことで知られる芸術家(例えばキリコなど)などはスキップして、
直接ニーチェを素材としているもののみ挙げました。随時更新予定。
(なお、著作権の問題から、パブリックアートと写真可だった博物館の作品のみ写真を挙げています。 )
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■写真作品:畠山直哉「タイトルなし(哲学者)」(2012年)
個展「まっぷたつの風景」(せんだいメディアテーク、2016-2017年)展示。 |
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■ヴィデオ・アート:河合政之
「資本空間:vol.6河合政之」(aM、馬喰横山、2006年)の展示における作家の本棚というコーナーに、
ニーチェの『曙光』あり。河合さんにとって作品が、ニーチェ的快癒に当たるものだから、とのこと。
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■Rob Pruitt(1963-)「Studio Calendar」(2017)
情報量の多い作品の一角に、よく見るとニーチェがいました。
(横浜トリエンナーレ、2017年) |
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■ドイツの巨匠ゲルハルト・リヒターの油彩画「Sils Maria」(2003年)
ニーチェ・ハウスが描かれています。
国立西洋美術館(上野)の特別展示「リヒター/クールベ」(2018年)で観る機会がありました。
またリヒターの写真集『Sils』
(Gerhard Richter, Hans-Ulrich Obrist, Peter Andre Bloch,Sils, Distributed Art Pub Inc, 2003)
の表紙はニーチェ・ハウスの写真となっています。
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■ムンク「フリードリヒ・ニーチェ」(1906年、オスロ市ムンク美術館所蔵)。
ニーチェを描いたものとしては最も有名かもしれません。
ムンクは、妹エリーザベト・ニーチェの肖像画も描いています。
共に「ムンク展―共鳴する魂の叫び」(東京都美術館、2018年)で展示されました。
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◆2019年には、カナダのオタワにあるNational Gallery of Canadaで
"Friedrich Nietzsche and the artists of the New Weimar"という展覧会が開催されたそうです。
マックス・クリンガー(Max Klinger, 1857-1920)によるニーチェの胸像などが展示されました。
National Gallery of Canadaの公式動画
(https://www.youtube.com/watch?v=9gXwbYwmQj8)に
展示の様子が紹介されています。展示と同名の理論書も出版されています。
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◆ドイツ・ヴァイマールにあるNeues Museum Weimarにて
"Ausstellung: Van de Velde, Nietzsche und die Moderne um 1900"
という展示を2022年に観ました。
ヴァイマールにゆかりのある哲学者ニーチェと建築家ヴァン・デ・ヴェルデ、
両者を繋ぐヴァイマールのモダニズム期の文化的潮流を可視化するもの。
またMax Klinger、Arnold Kramerらが制作した
数多くのニーチェの彫像が集められていました。
常設展?長期にわたって今後も展示するようです。 |
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◆ドイツ・ナウムブルクの広場に置かれているニーチェ像(2007年)。
2002年にナウムブルクに行った時にはなかったもの。
2021年撮影。
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ニーチェと映画
■、ニーチェを主人公にした映画に『善悪の彼岸』
(リリアナ・カヴァーニ監督、イタリア・フランス・西ドイツ合作、1977年)があります。
1882年のローマという設定でルー・ザロメ/ニーチェ/パウル・レーの
いわゆる「三位一体」の恋愛を中心に描いたものです。かなり退廃的なニーチェ像です。
■『ニーチェの馬』(タル・ベーラ監督、ハンガリー、2011年)は、
直接ニーチェを描いたものではありませんが、
ニーチェの馬のエピソードにインスパイアされた映画です。
Facebookに、早稲田松竹でこの映画を観たさいの拙い感想を載せています。
ほかにも、Júlio Bressaneという監督が2001年に『Dias de Nietzsche em Turim (英訳:Days of Nietzsche in Turin)』というニーチェの伝記的映画を、2019年にも『Nietzsche sils Maria Rochedo de Surlej (英訳:Nietzsche sils Maria Rochedo de Surlej)』(ともにポルトガル語によるブラジル映画)を製作しています。
またアメリカでは『ニーチェが泣くとき(When Nietzsche Wept)』(2007年)というアートフィルムが、精神科医アーヴィン・D・ヤーロムによる同名の小説(小説は邦訳あり)をもとに作られています。
Youtubeを検索すると、ほかにもBBCのドキュメンタリーなどでニーチェが扱われている映像があったり。
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