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東京造形大学 2014年度担当授業

 

 哲学T (山本恵子) 学部・前期・講義科目
[授業概要] 哲学の基本的な考え方を学び,哲学の定義と意味について理解することを講義前半の目標とします。例えばある回では「宗教と哲学の違いは何か?」という問題について考察します。両者には重なり合う部分もありますが,根本において異なるものですから,この考察は哲学の独自性についていくばくかの知見を与えることになるでしょう。こうしてまずは哲学を楽しむ土台を作っていきます。その先には,ただ授業を「きいてわかる」ことに留まらずに,「考える」「疑う」「批判する」などの哲学的営為に親しむという目標が待っています。講義後半では,人間を幸福にする社会の実現可能性に目を向けた哲学者の理論 を刺激剤として「philosophieren(哲学する)」ことへと向かいましょう。
[授業計画] 1.授業ガイダンスとイントロダクション:知を愛すること   
2.古代の哲学:「アルケー」の探究  
3.哲学の制度  
4.「正義」と「幸福」の探究  
5.イデア・芸術・国家   
6.中世の哲学:信と知  
7.神から人間へ
8.哲学体系の中の芸術(1)   9.哲学体系の中の芸術(2)  
10.人間的,あまりに人間的  
11.文化の本質
12.機械の奴隷:資本論とユートピアの思想  
13.「正義」再論   14.まとめ(課題回)
※14回の授業をつうじて古代,中世,近代,現代の哲学を俯瞰します。具体的には,芸術,政治,経済などの領域とも接点をもちつつ,創造とは何か?正義とは何か?幸福とは何か?といった問題にアプローチします。

 哲学U (山本恵子) 学部・後期・講義科目
[授業概要]
〈わたし〉と〈他者〉というモティーフから導出される諸テーマについて,ニーチェ哲学や現代の「承認」論を手がかりに考察します。両者の 「間(あいだ)」には共感,支配,理解などに媒介されて「関係」が生じますが,関係として形づくられる様々なシステムを「道徳」「権力」「大衆」といった 観点からみていきましょう。〈わたし〉と〈他者〉のディアレクティークによってみえてくる世界は,〈わたし〉という存在を問い直すきっかけになるはずです。
[授業計画] 1.授業ガイダンスとイントロダクション
2.「わたし」とは何者か
3.生の意味への問い――虚無的な世界に生きる
4.共同性とは何か(1)――道徳に従って生きる
5.共同性とは何か(2)――市場(いちば)に生きる人々
6.語りえぬこと――「わたし」と「他者」
7.優越願望と対等願望(1)    8.優越願望と対等願望(2)    9.優越願望と対等願望(3)
10.「他者」をつくりだす制度(1)   11.「他者」をつくりだす制度(2)   12.他者を受け入れる
13.承認不安と「わたし」   14.まとめ(課題回)
※本講義では以下の3つのフェーズから〈わたし〉と〈他者〉について考察します。
(1)ニーチェ哲学における自己=他者論,共同体論 (2)ニーチェの影響下にある現代思想家の他者論
(3)「もてなし」概念やSNSにおける「承認不安」など,現代日本の自己=他者関係をめぐる諸議論の批判的検討

 美学T (山本恵子) 学部・前期・講義科目
[授業概要] 美しいと感じる気持ちは,わたしたちの生に何を与えるのでしょうか。また,現代日本において美しいということにいかなる意義が見出されているのでしょうか。本講義ではこうした問いを受講者のみなさんに投げかけます。なぜならわたしたちが思っているほど,美しいということの意義は自明ではないからです。〈美しくない芸術〉が一般化した現代において,その自明性はいっそう揺らいでいます。みなさんには,この問いかけを自分自身の問題として引き受 けていただきたいと思います。そして,時代と社会の分析をつうじて,自分なりの答えを導き出してください。
[授業計画]  1.授業ガイダンスとイントロダクション:メタ美学――美学の意味を問う
2.美しい人
3.古代の美――秩序の美と狂気の美
4.美しいことは善いことか?善いことは美しいか?
5.美の条件
6.天才
7.「よい趣味」の基準(1)   8.「よい趣味」の基準(2)   9.「よい趣味」の基準(3)
10.アートワールド(1)   11.アートワールド(2)   12.アートワールド(3)
13.「かわいい」の美学   14.まとめ
※美学において美の基準がいかに変遷し,理念的なものから制度的なものに関係づけられていったのかを辿ります。 受講生は毎回,授業の要旨と見解をレヴューシートに記入してください。

 美学U (山本恵子) 学部・後期・講義科目
[授業概要] 美学史において生起した数多くの概念のうち,とくに本講義では毎回〈対概念〉をトピックとして提示し,考察します。トピックは具体的ですが,それらを理想と現実,客観性と主観性,絶対性と相対性,普遍と個,形式と内容などの本質的な対立諸概念に還元し,美や芸術の根本問題が何であったかを探究します。
[授業計画]
1.イントロダクション:美学と反美学
2.美/醜
3.欲望と愛――中世の美学
4.美か?わいせつか?
5.アヴァンギャルドとキッチュ
6 伝統・流行・普遍
7 作品vs芸術家(1)   8 作品vs芸術家(2)   9 作品vs芸術家(3)
10.アポロン的なもの/ディオニュソス的なもの(1)   11.アポロン的なもの/ディオニュソス的なもの(2)   12.アポロン的なもの/ディオニュソス的なもの(3)
13.イギリスの庭園/フランスの庭園   14.まとめ
※ものごとは〈両義的〉なものです。利ゆえに害もある。ものごとの 一面だけを与えられるままに受容するのではなく,多面的・客観的に認識する力をつけるべく学んでいきましょう。聞きながら考えること,考えながら書くことを心掛けながら,受講生は毎回,授業の要旨と見解をレヴューシートに記入してください。

 現代思想T (山本恵子) 学部・前期・講義科目
[授業概要] 生活の中でふと生じる〈ちょっとした疑問〉を取り上げ,現代思想(哲学)の方法を用いて考察します。現代思想は雲の上の難解な理論ではなく,日常を省みるための有効かつ魅力的な言説に満ちた分野です。本講義ではその方法の基礎を学んでいきます。ただしそれは暗記をしたり,あらかじめ決められた答えを知ることではありません。方法を模索しながら,答えのみえない問いに向かって「考えること」そのものを享受してください。
[授業計画] 1.ガイダンスとイントロダクション
2.モダンとポストモダン
3.身体の思想(1)   4.身体の思想(2)   5.身体の思想(3)
6.五感のエシックス(1)   7.五感のエシックス(2)   8.五感のエシックス(3)
9.買うことの倫理(1)   10.買うことの倫理(2)   11.買うことの倫理(3)
12.メディオロジー(1)   13.メディオロジー(2)   14.まとめ
※ 「現代」という時代の状況について認識を共有したのち,「五感」「身体性」「消費社会」「メディア」の4つのキータームについて講義します。 受講生は毎回,授業の要旨と見解をレヴューシートに記入してください。

 現代思想U (山本恵子) 学部・後期・講義科目
[授業概要]  第二次世界大戦前後の西洋思想,なかでもナチズムをめぐるドイツ現代思想が,未曾有の惨禍の中で人間存在と倫理について何を論じえたのかをみていきます。戦争に対する当時の哲学的アプローチを顧みながら,哲学の力を(あるいは無力を)看取するとともに,そこから未来への課題も読み取りたいと考えています。
[授業計画] 1.授業ガイダンスとイントロダクション
2.「ユダヤ」をめぐる哲学(ニーチェ,ハイデガー,サルトル)
3.「負い目」の問題(ヤスパース)
4.戦後責任と対話の哲学
5.「凡庸な悪」(アーレント)(1)  6.「凡庸な悪」(アーレント)(2)
7.戦争・哲学・宗教(1)宗教のリアリティ
8.戦争・哲学・宗教(2)「自由」の問題(ブーバー)
9.戦争・哲学・宗教(3)アウシュヴィッツ以後の神(ヨナス)
10.プロパガンダ芸術(1)  11.プロパガンダ芸術(2)
12.芸術と倫理(1)サルトルとマルクス主義
13.芸術と倫理(2)芸術の力
14.まとめ:絶望と希望
※毎回の授業ごとに〈戦争と哲学〉をめぐるトピック――「責任」「悪」「神」「自由」――などを掲げて考察します。授業の前半では第二次世界大戦に対峙した哲学者たちが何を思索し,何を実践したのかを追います。後半ではとくに芸術に関係するトピックを扱います。 受講生は毎回,授業の要旨と見解をレヴューシートに記入してください。

 記号論T (山本恵子) 学部・前期・講義科目
[授業概要] ウンベルト・エーコの記号論を手がかりに,テクスト(作品)とその解釈をめぐる諸問題を考察します。作者(作り手)−作品(作られたもの)−観る者(受け手,解釈者)の間にはりめぐらされた多様な関係性について理解を深めることが目的です。記号論者・記号学者たちが展開した,記号とメ ディアの問題についても見識を広げましょう。
[授業計画] 1.イントロダクション
2.はじめに言葉があった
3.シニフィアン・シニフィエ・シーニュ・コード
4.書物の文化機能
5.エーコ:開かれた作品(1)  6.エーコ:開かれた作品(2)  7.エーコ:開かれた作品(3)  8.エーコ:開かれた作品(4)
9.ソンタグの『反解釈』
10.深読みと誤読
11.映画記号学とは何か
12.紙の書物と電子書籍(1)  13.紙の書物と電子書籍(2)  14.まとめ(課題回)
※エーコは,作者が作品にメッセージを込め,それを鑑賞者が作品から受け取るという素朴な構造に対し,鑑賞者も作品の意味生成に創造的に関与しうることを〈作品の開かれ〉として論じています。授業では,エーコの議論を始点に,解釈の自由について多角的に検討しましょう。そのために,第1回から第3回までは記号論の基本概念を学びます。後半は,記号の流通を支配するメディ アの問題とからめて展開していきます。 また授業では,みなさんにレヴューシートを配布し,毎回の授業のテーマに沿って課題に取り組んでいただきます。

 記号論U (山本恵子) 学部・後期・講義科目
[授業概要] 記号論Uは,人間が記号化する存在であることを知る授業です。記号の解読が,時代や文化の流動性の中で規定される意味体系に左右されることを理解しましょう。また芸術作品を記号として眺め,そのあり方について分類を試みます。
[授業計画] 1. イントロダクション
2. デノテーションとコノテーション
3. アイコンとロゴマーク
4. 記号の国
5. 記号とイデオロギー
6. 文化と記号
7. 象徴(シンボル)と寓意(アレゴリー)
8.イコノロジー(図像解釈学)
9.ベラスケス
10.カンディンスキー
11. マグリット
12. ウォーホール
13. 白
14. まとめ(課題回)
※「記号論T」において記号論の基本概念と理論,メディアの問題を 扱うのに対し,「記号論U」では実際にわたしたちの身の回りにあるさまざまな記号を読み解いていきます。授業前半では,「日本」や「異文化」のコードを意 識しながら記号解釈の実例に触れてみましょう。ショッピングから恋愛にいたるまで,さまざまなコミュニケーションがおびただしい記号表現とその解読によっ て成立していることに気づくはずです。後半では,美術作品の記号性についてのテクストを,作品を鑑賞しながら分析します。 また授業では,みなさんにレヴューシートを配布し,毎回の授業のテーマに沿って課題に取り組んでいただきます。

 C 群演習A3(死の文化史) (山本恵子) 学部・後期・演習科目
[授業概要]
死は私にとって,決して知りえないものです。それゆえに哲学,宗教,そして芸術も,死を多様なイメージにおいて描き出してきました。死は絶対的な孤独といえますが,皆に必ず訪れるという意味では共同的性格を有しています。死は恐怖であり,ときには憧れでもあります。死に対するアンヴィバレントな感情は,人間存在を表現へと駆り立てつづけるでしょう。死の深淵は,日常生活において忘却されつつも,深く大地に伸びる文化の根なのです。授業では, 数々の文化的事象をつうじて死の本質へと迫り,死の文化史を辿ることで文化の本質に近づこうとする,そうした双方向的で柔軟な考察に挑戦していきます。
[授業計画] 1. イントロダクション(1)授業内容の説明 2. イントロダクション(1)テーマと方法
3. 講義:死は無ではない 4. 講義:映画の中の死
5. 講義:愛と死の芸術史 6.美術館の死:(アドルノ『ヴァレリー・プルースト・美術館』)
7.〜13. プレゼンテーション&ディスカッション  14. まとめ
※担当教員による講義回と受講者によるプレゼンテーション回とで構成されます。 講義では,哲学的な死の分類,死を乗り越えるということ,映画やドラマにみられる死の特性,「愛と死」の多様な描かれ方,死というメタファーとともに論じられた〈芸術作品と美術館の関係〉などの内容を扱う予定です。 発表内容には「死を文化的観点から扱う」こと以外の制約はありません。個々の関心にしたがって自由にテーマを設定し,発表してください。

 D群演習A4(生活環境の美学) (山本恵子) 学部・前期・演習科目
[授業概要]
「わたしたちの環境は美しいもので満ち溢れている」――この文章に心から首肯することができるかどうか。この単純な問いから本授業は出発し ます。電車のなかでの化粧,過剰な電飾――日常生活において美を目指しながら美から疎外された事象を目にすることもあるでしょう。そこには〈美と倫理〉を めぐる哲学的議論も見え隠れしています。美と感性の観点から日常生活を分析的に(ときには批判的に)見る力を身に付けましょう。
[授業計画] 1. イントロダクション(1)授業内容の説明  2. イントロダクション(2)テーマと方法
3. 講義:生活環境美学 4. 講義:日常生活の美化
5. 講義:食の美学(1) 6. 講義:食の美学(2)
7.〜13. プレゼンテーション&ディスカッション  14.まとめ 
※担当教員による講義回と受講者によるプレゼンテーション回とで構成されます。 プレゼンテーションでは,広く衣食住に関係する領域から自由にテーマを設定し,個人研究ないしグループ研究の成果を発表していただきます。

 D群演習B4(美的価値と社会) (山本恵子) 学部・後期・演習科目
[授業概要]
社会では多種多様な価値概念が引きも切らず生み出されては流通しています。現代における消費と欲望,あるいは商品と創造性といった問題を考察するうえで,価値へのまなざしは不可欠でしょう。例えば2000年代には「萌え」「キモかわいい」「エロかっこいい」といった価値概念によって性格づけられたキャラクターや有名人が人気を得るという事象が立て続けに見られました。表現が細分化/拡張されることにより,モノ(商品)に新たな価値イメージが 付与されるとき,価値は時代の潮流と不可分の関係にあります。しかしそれはほんとうに"創造的"であるといえるのでしょうか。そうした問いも含み持ちつつ,授業では西洋の伝統的美的価値と日本的感性価値を,その社会的背景とともに具体的に考察します。
[授業計画] 1. イントロダクション(1)価値の価値――創造とは何か 2. イントロダクション(2)テーマと方法
3. 講義:「はかない」「たたずまい」 4. 講義:「なつかしい」 5.講義:「滅びの美学」
6.〜13. プレゼンテーション&ディスカッション 14. まとめ
※担当教員による講義回と受講者によるプレゼンテーション回とで構成されます。 プレゼンテーションでは,古今東西の美的価値概念からテーマを選び,個人研究あるいはグループ研究を経て,発表することになります。テーマ例を以下に挙げておきます(無論,この限りではありません):「崇高」「悲劇」「滑稽」「グロテスク」「キッチュ」「もののあわれ」「わび/さび」「幽玄」「いき(粋/ 意気)」「かわいい」「キモい」「美少女」「まぶさび」など。

 造形史 (山本恵子) 大学院・後期・講義科目
[授業概要]
19世紀〜21世紀における「かたち」の思想を講読し,モダンからポストモダンへの移行を造形という切り口から考察する。また講読(イン プット)と発表(アウトプット)を並行しておこなっていくことにより,受講者が芸術に対する自らの根本態度を整理するとともに,他者に対して明瞭に言語化する能力の向上を目指す。
[授業計画 1. 導入
2. アリストテレスの「形相(エイドス)」
3. ボードレール「なぜ彫刻は退屈か」(1846年)
4. ニーチェ『悲劇の誕生』(1872年) 5. 自由発表
6. ヒルデブラント『造形芸術における形の問題』(1893年)
7. グリーンバーグ「新しい彫刻」(1949年) 8. 自由発表
9. ロザリンド・クラウス「彫刻とポストモダン」(1983年所収)
10. 用いられるかたちの思想(民藝) 11. 自由発表
12. プラスティック・ボディ(可塑的な身体)
13. 美少女フィギュア考 14. 総論




早稲田大学 2014年度担当授業(非常勤講師)

 美学1 (山本恵子) 文学部(・文化構想学部・第 一文学部・第二文学部) 春学期 
[授業概要]  わたしたちは真と偽、善と悪、美と醜をはじめとする多様な価値基準にもとづく判断の中で、生きることの意味を模索し続けています。本講義における美学とは、美やそれに類するさまざまな感性的価値が、ある時代・ある場所で発揮した力とその利/害について学ぶものです。そのさい古代から現代までの幅広い美学の考え方を紹介しますが、私はそれらをただの歴史としてではなく生きた問題として捉える手助けをしたいと思っています。
なおこの授業では、レポート・試験を課さない代わりに、毎回の授業後にレヴューシートを記入し提出していただきます。レヴューシートには授業の要旨と見解を記してください。また授業期間中、受講生のみなさんには、日々自分の身辺に対する美的感性を高め、ささやかなことでもいいですからレヴューシートに自分自身で感じたことを反映させることに努めていただきたいと思います。
[授業の到達目標] 美しいということの〈意味〉を、みなさん自身に、みなさん自身の問題として、考えていただくことが目的です。  また、全15回の授業で毎回レヴューシートを提出していただくことによって、授業の要旨をうまくまとめる力、限られた時間の中でうまく自分の見解を展開する力を徐々に向上させましょう。この授業は講義ではありますが、書く力をつけるための実践的・創造的な鍛錬もおこなっていきます。
[授業計画] 1. オリエンテーション(本講義の目的と概要)
2. 性愛と美(1)古代  3. 性愛と美(2)中世  4. 性愛と美(3)中世(続)
5. ウンベルト・エーコ(1)芸術作品の〈開かれ〉
6. ウンベルト・エーコ(2)テレビの美学
7.映画の美学(1)  8.映画の美学(2)
9. 政治と美(1)ベンヤミン「政治の美学化」
10.政治と美(2)プラトン「詩人追放論」
11.政治と美(3)音楽の力
12.政治と美(4)庭園の美学
13.新音楽と文化産業(1)  14.新音楽と文化産業(2)
15.消費社会の芸術

 アートと感性への導入 (岩田圭一/山本恵子) グローバルエデュケーションセンター 春学期
[授業概要] アートは感性を先鋭化し、先鋭化された感性が社会に創造性をもたらす。本授業ではそうしたアートと感性の営為について検討します。アートが感性をいかに豊かなものにするか、いかに社会に影響を与えるものかという問題について幅広い視野で考察していきましょう。最初に教員による講義を行い、さまざまな時代の芸術思潮やその思想基盤を検討します。後半は主に受講生によるプレゼンテーション(発表)をおこないます。プレゼンテーションでは音楽、美術、映像、インスタレーションなどさまざまな分野を横断することになりますが、共通テーマとして「災害とアート」「福祉とアート」を設定し、理解を深めていく予定です。(なお受講者の関心に基づき他のテーマを追加する場合があります。)プレゼンテ―ション後にはディスカッションの時間を設けますので、積極的に発言してください。
[授業の到達目標] アートと感性の関係をインタラクティヴに考察し、アートの社会的機能について理解することを目標とする。

 感性と死の問題への導入 (山本恵子) グローバルエデュケーションセンター 春学期
[授業概要] 死は人間を不可避的に規定します。しかしまた死を規定するのも人間です。何が死であり、死はいかなるものであるか、と。「死」が訪れることのない私たちの人生を想像してみてください。その場合の毎日とはどんなものでしょうか。「今」の意味とは、おそらくは「死」を想うこと(メメント・モリ)から始まるのかもしれません。本授業では、「死」のさまざまな様相の分析を目的とします。具体的には、日常性のコンテクスト、内面的なそれ、宗教的、芸術的、社会的、政治的、経済的なコンテクストといった観点から多面的に考察していきます。死は崇高であると同時に、きわめて現実的なものであることに気づくでしょう。いずれにせよ、死のイメージから始まって、死にかかわる現実を検討しつつ、死の根本構造を解き明かすことが重要な課題となります。
[授業の到達目標]
1)様々な文化における死のイメージの差異をその宗教、文化、社会、経済的要因から解き明かすことができるようになる。
2)死に対する明快な見解を、論理的かつ説得力を持って表明することができるようになる。
3)人間をはじめとする生き物の死についての議論を通じて、様々な世代、社会層、異文化への理解を深める。
4)この種のテーマに関するプレゼンテーション能力の向上を目指す。
[授業計画]  1.導入
2. ジャンケレヴィッチ『死』:1・2・3人称の死と「あった」の事実性
3. 宗教における死(仏教)
4.〜13. プレゼンテーションとディスカッション
14. 宗教における死(キリスト教) 15. まとめ


放送大学(長野学習センター) 2014年度担当授業(非常勤講師)

 芸術の哲学 (山本恵子) 集中講義・面接授業
[授業概要]  芸術作品を「哲学」のフィールドから考察します。芸術の本質について根本から問いかけてみましょう。それは、芸術が人間の生の意味にどのように関わっているのかを問う営みでもあります。受講者のみなさんにはさまざまな現代アートを鑑賞していただくとともに、「芸術とは何か」という問いを熟考することの喜びに触れていただきたいと思います。
[授業計画]1. 「芸術」と「非芸術」を分けるもの  2. 芸術の意味  3. 芸術と哲学、芸術と美学
4. 芸術によって生きる(1)事例:ヘンリー・ダーガー  5.芸術によって生きる(2)イメージの力
6. 鑑賞する力(1)  7. 鑑賞する力(2)  8. 創造の本質



上智大学 2014年度担当授業(非常勤講師)


 芸術学U (山本恵子) 文学部哲学科・春学期   科目サブタイトル:芸術における倫理
[授業概要]  20世紀以降の美術を題材に、芸術の倫理的価値について考察します。芸術家が戦争中に作品を通じて表現しようとしたもの、芸術において求められた自由、一見わかりにくい現代アートの意義、などの観点のもとに作品を具体的にみていきましょう。しかしときには美学者・哲学者の思考に立ち返り、20世紀の思想基盤との関係を確認することにより、作品の理解を多角的に深めます。
[到達目標]
(1) 20世紀美術についての基礎知識を修得します。
(2) 言葉を用いて芸術作品を論じる仕方を、美学の方法論に学びます。
(3) (1)(2)のプロセスを消化することにより、芸術作品の鑑賞を、感性と知性とが相克する体験として手繰り寄せることが目標です。
[授業計画]1. 導入:現代アートの諸相
2. ダントー(1)  3.ダントー(2)
4. 芸術と自由(1) 5. 芸術と自由(2) 6. 芸術と自由(3)
7. サルトル 8.ベンヤミン
9. 戦争と芸術(1) 10. 戦争と芸術(2)
11. グリーンバーグ
12. 芸術とイデオロギー(1) 13. 芸術とイデオロギー(2)
14. 日本のアーティストたち 15. まとめ

 

 

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